2016年流星群観測展望

2016年の流星群観測展望です.2016年は,ペルセウス座流星群が好条件.

毎月の流星群情報
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2016年流星群活動展望(総論)

2016年は,年間三大流星群のひとつ,ペルセウス座流星群が比較的好条件です.しぶんぎ座流星群は月明かりがあり、国内でも極大時刻が日中なので,条件は良くありません.このほか,ふたご座流星群も,満月の下での観測となり,あまり条件がよくありません.三大流星群では,ペルセウス座流星群が今年はお勧めです.
このほか,2016年は特段突発出現の予想は出ていませんが,近くになると再計算され,公表されるケースもありますので,ペルセウス座流星群10月りゅう座流星群しし座流星群等は事前に観測条件をご確認下さい.

1月の観測展望

1月の主要流星群「しぶんぎ座流星群」の2016年は,眼視観測では月明かりがあり悪条件です.月を直接視界に入れないよう,月とは反対側を見ると良いでしょう.2016年のピーク時刻からして,日本からは4日夜半から夜明けが増加傾向,5日夜半から夜明けが減少傾向となるでしょう.なお,ピークが若干早まり4日7時頃~11時頃という予想もあるため,4日未明は注目しておきましょう.世界的には,北米西部が好条件ですが,月明かりは世界的に同じです.なお,夜はメチャクチャ寒いので,防寒対策と共に車で移動される方は路面の凍結にご注意ください.
その他の活動は,1月はあまり見られません.
国内の電波観測ではしぶんぎ座流星群の活動が捉えられますが,極大時刻は日中で日本からは輻射点も沈んでいるので,ピークは残念ながら電波観測でも観測はできないでしょう.

2月の観測展望

例年,2月は目立った流星群の活動はなく,眼視観測においても,電波観測においても顕著な流星活動を捉えることはありません.ただし,眼視観測ではこの頃,いくつかの小流星群が活動し,その構造はとても興味深いものがあります.群判定には少々慣れが必要ですが,流星の出現経路を記載し,流星群特定をしてみてはいかがでしょうか.
流星電波観測では,ほとんど活動らしい活動を捉えることはないでしょう.しかし,何がいつ起こるかは誰にもわかりません.流星群活動の監視は継続して実施してください.また,この頃のデータは各観測地点の観測状況を計る上でとても重要な期間となります.Activity Levelにおいても,通常レベルの定義は2月・3月・9月のデータを使用することが多いので,継続した観測をお願いします.

3月の観測展望

2月同様,眼視観測・電波観測共に目立った活動は見られません.主体は2月同様,眼視観測では小流星群の特定,電波観測では流星群活動の監視と,通常レベルの測定となりそうです.

4月の観測展望

4月23日明け方に,1月以来の主要流星群「こと座流星群」が活動を見せます.2016年の観測条件としては,満月かつ極大が昼間と観測条件は良くありません.ただし,突発癖があり,突如として例年より多めの活動を見せることがあります.眼視観測では22日夜から23日未明にかけてと23日夜から24日未明にかけて注目してみましょう.
電波観測でもこと座流星群の活動は出現すれば観測はできますが,明瞭な活動がない限り,大きな活動とはなりません.それよりも,4月末になると,5月にピークを迎えるみずがめ座η流星群の活動が見え始めます.

5月の観測展望

5月は,6日未明にみずがめ座η流星群が極大を迎えます.2016年の予想ピークは国内では6日5時頃と観測条件は良好.さらに月明かりもないので,ここ数年では,最高の観測条件下での観測となるでしょう.なお,1月のしぶんぎ座流星群とは異なり,極大は高原上のピークを迎えるので,多少前後しても大丈夫です.5月大型連休とも重なりますので,ぜひご覧になってみてください.
なお,みずがめ座η流星群は,日本からは輻射点高度があまり高くなりませんが,オーストラリアやニュージーランドなど南半球では,輻射点高度が高くなるので,多くの流星を見ることができるでしょう.大型連休等で南半球へ出かけられる方は治安等に気をつけながら是非ご覧になってみてください.観測適地は日本と同じ経度であればアジアからオセアニアにかけて好条件です.
電波観測ではピーク時刻は国内で迎えますので,エコー総数とロングエコー数がどこまで伸びるか注目です.また,この流星群は高原状の活動ですので,前後数日間は活動を捉えることができるでしょう.
このほか,眼視観測では特にありませんが,電波観測では6月の昼間流星群最盛期に向けて,昼間の流星数があがってくる時期です.年によっては,5月20日前後でエコー数が一度上昇することもあります.昼間群の活動形態は例年異なってくるので,2016年の活動がどのように見られるのか注目です.

6月の観測展望

6月は,月末に,6月うしかい座流星群が極大を迎えます.ただし,この流星群は,ここ数年目立った活動はなく,どの程度の活動が見られるのかは未知数です.参考までに2016年の6月うしかい座流星群ピーク日時は,27日12時頃ですが,23日夜明け前も注意してみてください.23日9時(JST)に暗めの流星数の増加が予想されています.この流星群以外には,眼視観測で見られるものとして,特に目立った流星群はありません.
一方,電波観測では6月上旬に昼間流星群が極大を迎えます.8日頃に一回目,その数日後にもう一度極大を見せることが多いです.それぞれ,おひつじ群,ペルセウスζ群に起因すると考えられます.年によって活動状況が異なります.6月うしかい座流星群は出現すれば,電波観測でも捉えることはできるでしょう.

7月の観測展望

7月になるといよいよ流星群観測シーズンの到来といった様相となります.7月下旬には,みずがめ座δ流星群や,やぎ座流星群が極大を迎えます.眼視観測では,7月26日頃からは明らかに流星数が増えたと感じると思います.活動は21時前後には輻射点がそれぞれ昇ってきていますので,その後は朝まで観測できます.2016年は下弦の月があるため,夜半前の方が観測には適しているでしょう.
電波観測では,みずがめ座δ流星群の性質が良いためか,豊富な流星エコーが観測されます.おそらく,8月のペルセウス座流星群をしのいでいると思います.活動は20日頃から観測地点によっては見えてきます.例年7月23日から25日付近に一度ピークを捉え,その後高原上の活動が続いた後に30日の主極大を迎えます.30日は明らかにみずがめ座δ流星群ですが,23日付近の活動はよくわかっていません.2016年も同様の傾向となるのか注目です.

8月の観測展望

8月は,ペルセウス座流星群が極大を迎えます.2016年は月齢10ですが1時前には沈むので,全く問題なく観測できるでしょう.ピーク時刻も12日22時頃と条件も良く,12日の夜半前から13日未明に注目です.加えて12日夜明け前も注目してみましょう.

電波観測では,ロングエコーが多く観測される見ごたえがあります.ただし,対地速度が速いため,エコー数そのものは伸び悩むと思われます.例年,眼視観測ほどの顕著な活動グラフにはならないことが多く,眼視観測での活動規模指標となるZHRに換算して初めて全体像が見えてくると思います.

このほか,8月上旬は7月のみずがめ座δ流星群や,やぎ座流星群の余韻が残るでしょう.年によっては,5日頃までは活動が見られると思います.20日頃には,はくちょう座流星群の極大がありますが,その活動を顕著に捉えることはほとんどないでしょう.ペルセウス座流星群が終わると,流星数は減少の一途をたどり,月末頃には活動が落ち着くと思われます.

9月の観測展望

9月は,ちょうど流星群活動の狭間とあって,眼視観測・電波観測共に目立った活動が見られないことが多いです.しかし,2011年には,2日や13日に電波観測を中心に突発的な活動が捉えられており,これが過去取り上げていなかっただけなのか,2011年だけの活動なのかとても興味深いところです.

10月の観測展望

10月りゅう座流星群が極大を見せます.2011年や2012年は比較的活発な活動が見られましたが,2016年は特に突発出現の予報はされていません.ただし,正直何が起こるかは見てみないことにはわかりません.一応,国際流星機構による極大とされている時刻は,日本時間で8日21時頃で輻射点はまだ見える時間帯です.
また,10月21日には,オリオン座流星群が極大を迎えます.2016年のピーク予想時刻は21日14時であり,月齢19と観測条件はあまりよくありません.活動そのものは高原上の活動となるので,前後数日間は同規模の活動が見られるでしょう.明るめの流星群が多いですので,是非ご覧になってみてください.
電波観測では,オリオン座流星群の対地速度が速い関係から,エコー数は伸び悩むと思いますが,ロングエコー数は増えるでしょう.ただし,例年,エコー数の極大とロングエコー数の極大が異なっているケースが多く,特にロングエコー数の極大が遅れる傾向があります.これが何を意味するのかとても興味深いところです.2016年もどうなるか注目です.

11月の観測展望

11月はしし座流星群が極大を迎えます.2002年の素晴らしい活動を最後に,希に活動レベルが上がるものの,当時のような華やかな活動はここ数年全く見られていません.基本的にはこの傾向がしばらくは続くと思われます.2016年のピークは17日19時頃で月齢18とあまり観測条件はよくありません.
電波観測では,しし座流星群の活動は,突発出現がない限り,活動はほとんど捉えられないでしょう.対地速度が速いためロングエコーは散発すると思いますが,派手な活動とまではいかないと思います.
このほか,5日頃を中心として,高原上の活動が見られることがあります.これは,おうし座流星群によるものと思われます.ロングエコー数も同様にあがることがあります.

12月の観測展望

12月はふたご座流星群が極大を迎えます.2016年のふたご座流星群は,満月と月齢条件が悪く.14日9時頃がピークのため,観測条件としてはあまりよくありません.ただし,90年代後半から明るい流星も見られるようになってきているので,月明かりを目に入れないように注目してみてください.
電波観測でも多くのエコーがふたご座流星群では観測されます.国内では1時から2時頃に輻射点高度が天頂付近を通過するときにエコー数が激減する「天頂効果」が見られます.ロングエコーもそこそこ見られると思いますので,充実した流星群活動となるでしょう.電波観測には月明かりは関係ありません.14日夜半過ぎがピークとなるでしょう.
このほか,22日18時には,こぐま座流星群が極大を迎えますが,突発出現がない限り,その活動を捉えることは難しいでしょう.ただし,希に突発出現がありますので注意は必要です.

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