2013年流星群観測展望

2013年の流星群観測展望です.2013年は,ペルセウス座流星群の観測条件が良いでしょう.

毎月の流星群情報
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2013年流星群活動展望(総論)

2013年は,年間三大流星群のひとつ,ペルセウス座流星群の観測条件が,ここ数年では最高の条件が整います.次同様条件は8年後です.このほか,しぶんぎ座流星群ふたご座流星群は,それぞれ観測制約があるものの,多くの流星数が見られることでは不動の地位です.
このほか,2013年は特段突発出現の予想は出ていませんが,近くになると再計算され,公表されるケースもありますので,ペルセウス座流星群10月りゅう座流星群しし座流星群等は事前に観測条件をご確認下さい.

1月の観測展望

1月の主要流星群「しぶんぎ座流星群」は,極大時刻が日本時間で1月3日22時頃と,日本国内では輻射点が昇ってくる直前の時間帯であり,さらに,輻射点が昇った1時間後くらいに月が昇ってくるため,観測条件が良いとはいえません.しかし,数時間程度の極大時刻の誤差は十分あり得ますので,3日夜半頃から4日未明にかけては注目です.世界的に見て,好条件なのは,アメリカ西海岸からハワイ・アラスカでしょう.月明かりがあることは世界共通ですので,月が視界にあまり入らないよう工夫しましょう.

その他の活動は,1月はあまり見られません.ここ数年特に突発出現があったという記録もありません.眼視観測では3月にかけて小流星群が活動しますので,出現する流星がどの群に属するのかどうかを判別するのはおもしろそうです.

電波観測でも,例年しぶんぎ座流星群の活動を捉えることができます.活動規模に注目です.その他は,異常がないことを日々確認することがとても重要です.ロングエコーは月初めがしぶんぎ座流星群の関係で多く捉えられるでしょう.

2月の観測展望

例年,2月は目立った流星群の活動はなく,眼視観測においても,電波観測においても顕著な流星活動を捉えることはありません.ただし,眼視観測ではこの頃,いくつかの小流星群が活動し,その構造はとても興味深いものがあります.群判定には少々慣れが必要ですが,流星の出現経路を記載し,流星群特定をしてみてはいかがでしょうか.
流星電波観測では,ほとんど活動らしい活動を捉えることはないでしょう.しかし,何がいつ起こるかは誰にもわかりません.流星群活動の監視は継続して実施してください.また,この頃のデータは各観測地点の観測状況を計る上でとても重要な期間となります.Activity Levelにおいても,通常レベルの定義は2月・3月・9月のデータを使用することが多いので,継続した観測をお願いします.

3月の観測展望

2月同様,眼視観測・電波観測共に目立った活動は見られません.主体は2月同様,眼視観測では小流星群の特定,電波観測では流星群活動の監視と,通常レベルの測定となりそうです.

4月の観測展望

4月22日頃,1月以来の主要流星群「こと座流星群」が活動を見せます.2013年の観測条件は極大予想時刻が4月22日20時と,輻射点が昇った直後となるため.あまり条件はよくありません.月齢条件は,午前2:30過ぎであれば月明かりを気にする必要はなくなります.また,こと座流星群は突発癖があり,突如として例年より多めの活動を見せることがあります.眼視観測では22日夜から23日未明にかけて要注意.こと座は20時過ぎには昇りますので,ほぼ一晩中観測することができるでしょう.
電波観測では,昼頃まで輻射点が昇っていますので,極大予想時刻はいずれにしもて観測しづらいところですが,異常な活動がないか監視を続けましょう.それ以外の活動は特にありませんが,5月上旬のみずがめ座η流星群に向けて,25日を過ぎると活動が捉えられるようになると思います.

5月の観測展望

5月は,6日未明にみずがめ座η流星群が極大を迎えます.極大予想時刻は国内では6日10時頃と日の出後になります.月明かりはほぼ気にしなくていいので,極大時刻だけを気にしましょう.また,1月のしぶんぎ座流星群とは異なり,極大は高原上のピークを迎えます.従って,国内からは6日未明が極大となるでしょう.6日夜半過ぎから夜明けまで注目しましょう.
なお,みずがめ座η流星群は,日本からは輻射点高度があまり高くなりませんが,オーストラリアやニュージーランドなど南半球では,輻射点高度が高くなりますので,多くの流星を見ることができるでしょう.大型連休等で南半球へ出かけられる方は治安等に気をつけながら是非ご覧になってみてください.
電波観測では昼間でも観測はできますので,6日未明から極大自国付近までエコー数が増加するでしょう.ロングエコーがどこまで増えるかは注目です.ちなみに,6日の後に再度流星数があがる傾向があり,みずがめ座η流星群に依存するものなのか,昼間流星群に依存するものなのかは現時点では不透明です.
このほか,眼視観測では特にありませんが,電波観測では6月の昼間流星群最盛期に向けて,昼間の流星数があがってくる時期です.年によっては,5月20日前後でエコー数が一度上昇することもあります.昼間群の活動形態は例年異なってくるので,今年の活動がどのように見られるのか注目です.

6月の観測展望

6月は,月末に,6月うしかい座流星群が極大を迎えます.ただし,この流星群は,ここ数年目立った活動はなく,どの程度の活動が見られるのかは未知数です.ちなみに2013年の極大日時は,27日18時頃です.この流星群以外には,眼視観測で見られるものとして,特に目立った流星群はありません.
一方,電波観測では6月上旬に昼間流星群が極大を迎えます.8日頃に一回目,その数日後にもう一度極大を見せることが多いです.それぞれ,おひつじ群,ペルセウスζ群に起因すると考えられます.年によって活動状況が異なります.元々電波観測ではZHRを推定することが困難でしたが,最近では,この方法が確立しつつあり,毎年の活動規模を知る上ではとても重要な要素となります.
電波観測でも6月うしかい座流星群の出現が見られれば捉えることはできるでしょう.しかし,とにかく活動を見せるのか見せないのかがわかりませんので,継続した観測をお願いいたします.

7月の観測展望

7月になるといよいよ流星群観測シーズンの到来といった様相となります.7月下旬には,みずがめ座δ流星群や,やぎ座流星群が極大を迎えます.眼視観測では,7月26日頃からは明らかに流星数が増えたと感じると思います.活動は21時前後には輻射点がそれぞれ昇ってきていますので,その後は朝まで観測できます.2013年は月明かりが夜半以降ありますので,できれば夜半前の方が観測条件は良いでしょう.
電波観測では,みずがめ座δ流星群の性質が良いためか,豊富な流星エコーが観測されます.おそらく,8月のペルセウス座流星群をしのいでいると思います.活動は20日頃から観測地点によっては見えてきます.例年7月23日から25日付近に一度ピークを捉え,その後高原上の活動が続いた後に30日の主極大を迎えます.30日は明らかにみずがめ座δ流星群ですが,23日付近の活動はよくわかっていません.2013年も同様の傾向となるのか注目です.

8月の観測展望

8月は,ペルセウス座流星群が極大を迎えます.日本国内からは久々に,極大予想時刻が夜間(13日3時)で,月明かりがないという最高条件が整います.これだけの条件が揃うのは8年後の2021年となります.12日夜から13日未明にかけて,特に13日に日付が変わったあたりから夜明けまでは,好条件で観測することができるでしょう.
電波観測では,流星の対地速度が速いため,ロングエコーが多く観測される見ごたえのある流星群となりそうです.ただし,対地速度が速い故に,エコー数そのものは伸び悩むと思われます.例年,眼視観測ほどの顕著な活動グラフにはならないことが多く,眼視観測での活動規模指標となるZHRに換算して初めて全体像が見えてくると思います.
このほか,8月上旬は7月のみずがめ座δ流星群や,やぎ座流星群の余韻が残るでしょう.年によっては,5日頃までは活動が見られると思います.20日頃には,はくちょう座流星群の極大がありますが,その活動を顕著に捉えることはほとんどないでしょう.ペルセウス座流星群が終わると,流星数は減少の一途をたどり,月末頃には活動が落ち着くと思われます.

9月の観測展望

9月は,ちょうど流星群活動の狭間とあって,眼視観測・電波観測共に目立った活動が見られないことが多いです.しかし,2011年には,2日や13日に電波観測を中心に突発的な活動が捉えられており,これが過去取り上げていなかっただけなのか,2011年だけの活動なのかとても興味深いところです.

10月の観測展望

2011年,10月りゅう座流星群が突発出現を見せ,眼視観測・電波観測共に捉えることができました.また,2012年も比較的活発な活動が捉えられています.2013年は今のところ突発出現の予報はされていませんが,正直何が起こるかは見てみないことにはわかりません.一応,国際流星機構による極大とされている時刻は,日本時間で9日02時頃で,月明かりはありませんが,輻射点高度は低いです.
また,10月21日には,オリオン座流星群が極大を迎えます.極大予想時刻は21日19時であり,夕方となってしまいますが,活動そのものは高原上の活動となるので,前後数日間は同規模の活動が見られるでしょう.極大頃では21日未明,22日未明あたりに注目です.ただし,月齢16とほぼ満月のため,月を視界に入れないよう注意する必要があります.
電波観測では,オリオン座流星群の対地速度が速い関係から,エコー数は伸び悩むと思いますが,ロングエコー数は増えるでしょう.ただし,例年,エコー数の極大とロングエコー数の極大が異なっているケースが多く,特にロングエコー数の極大が遅れる傾向があります.これが何を意味するのかとても興味深いところです.2013年もどうなるか注目です.

11月の観測展望

11月はしし座流星群が極大を迎えます.2002年の素晴らしい活動を最後に,希に活動レベルが上がるものの,当時のような華やかな活動はここ数年全く見られていません.基本的にはこの傾向がしばらくは続くと思われます.極大予想時刻は18日1時頃と日本で条件は良くなります.国内では18日未明が好条件.ただし,満月のため月巡りが悪いです.
電波観測では,しし座流星群の活動は,突発出現がない限り,活動はほとんど捉えられないでしょう.対地速度が速いためロングエコーは散発すると思いますが,派手な活動とまではいかないと思います.
このほか,5日頃を中心として,高原上の活動が見られることがあります.これは,おうし座流星群によるものと思われます.ロングエコー数も同様にあがることがあります.

12月の観測展望

12月はふたご座流星群が極大を迎えます.2013年のふたご座流星群は極大が昼間で,月明かりも夜半頃までありますが,夜半以降は好条件で観測できるでしょう.極大時刻は14日15時ですので,14日未明は増加傾向,15日夜半は減少傾向となるでしょう.眼視観測でも,10日頃からはその活動が見えてくると思います.もし天候に恵まれないことがわかっている場合などは1日前倒ししてみてもいいかもしれません(後ろにずらすと,流星数が激減する傾向があります).
電波観測でも多くのエコーがふたご座流星群では観測されます.おそらく年間最大の流星エコー数になると思います.国内では1時から2時頃に輻射点高度が天頂付近を通過するときにエコー数が激減する「天頂効果」が見られます.ロングエコーもそこそこ見られると思いますので,充実した流星群活動となるでしょう.
このほか,22日23時には,こぐま座流星群が極大を迎えますが,突発出現がない限り,その活動を捉えることは難しいでしょう.ただし,希に突発出現がありますので注意は必要です.

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