ステップ4(設置しよう:臨時設置編)

流星電波観測を一晩だけなど,アンテナをあくまで一時的に設置し,誰かが近くにいることを想定したものです.定常観測でこの設置方法は大変危険ですので,必ず「固定設置編」をご覧ください.

ポールを設置

紐を塩ビパイプに取り付けた金具に固定します.※臨時であれば,ポールは塩ビパイプで十分です.(下写真)

ポール設置1 ポール設置2

ペグを地面に打ち付け,紐を結びます.この時,紐を「自在結び」と呼ばれる結び方で結ぶと,後で長さが調整できるので楽です.「自在結び」については,アウトドアの本にも掲載されていますし,webでも掲載されています.今回利用した自在結びが掲載されているサイトはこちらです.(下写真)

ポール設置3 ポール設置4 ポール設置5

自在結びで結んだところをゆるめたりきつくしたりして調整しながら,ポールがしっかり立つようにします.アンテナは周りが開けているところに設置しましょう.特に,その観測地から見て送信局方向に高いビルなどの障害物がないかをチェックしてください.送信局から200km以内の場合はアンテナを天頂に向けますので,ある程度の広さが周囲にあれば大丈夫です.HROの送信局は53.755MHzであれば福井県です.

左の写真から「長さを調整してポールを建てているところ」,「ポールの設置完了」「オプションとして,三脚で補強する(やらなくても大丈夫)」

ポール設置6 ポール設置7 ポール設置8

アンテナにケーブルを接続

アンテナにケーブルを取り付けます.ケーブルのコネクタ部分には二箇所の突起があります.その突起が,アンテナ側のギザギザのどこかにはまるようにしてしっかりと締めて下さい.(写真参照)

ケーブル取付1 ケーブル取付2

アンテナをポールに設置します

送信局から200km以内の地域

送信局(HROの場合は福井県)から約200km以内であれば,アンテナは天頂に向けて設置します.塩ビパイプの場合,L字型のコネクタが60円ほどで売られているのでそれを取り付けて,アンテナを天頂方向に向けます.この時,必ず,ケーブルのコネクタがある方(短い棒がつながっている方)を上向きにしてください.逆に設置すると流星エコーが受信できなくなります.上側が短い棒,下側が長い棒です.そして必ず,素子の面が送信局方向に対して垂直 (棒が送信局方向に対して垂直ということ) になるようにしてください (100kmを切る近距離では平行にした方が良い時もあります–要調整). (写真参照)

アンテナ設置1 アンテナ設置2

送信局から200km以上の地域

送信局(HROの場合は福井県)から200km以上の遠距離では,アンテナは水平方向にセッティングします (地面と平行になるようにしてください) .この時,送信局方向にケーブルのコネクタがある方(短い棒がつながっている方)を向けてください (水平に対して若干角度を付けると受信しやすくなることがありますが,よくわからない場合は調整しなくて大丈夫です).逆に設置すると流星エコーが受信されにくくなります(受信できないことはないですが…).そして,この送信局方向に障害物がないことを確認してください.(写真参照) ちなみに,これで観測しているときに,周辺ノイズに苦しむようでしたら,天頂向きでもかまいません.そのサイトの状況に応じて変えてみて,よく受信できる方にしてみてください.

アンテナ設置3 アンテナ設置4

ケーブルと受信機を接続

SDR受信機の場合

SDR受信機はパソコンと接続しないと使えません.屋外で電源が取れることを確認してください.なお,屋外で建物から電源ケーブルを延長する場合,家庭内で使用する延長ケーブルは夜露で濡れて感電につながる危険がありますので使わないで下さい.従って,必ず屋外用の電源ケーブルを使うようにしてください.また,パソコンも夜露に濡れないよう,写真のように衣装ケースに入れる等工夫してください.なお,日中は直射日光が当たると衣装ケース内の温度が上がります.できる限り日陰に置きましょう.

衣装ケースに収納イメージ

パソコン側の設定については,杉本弘文氏がわかりやすく解説していますので,そちらをご参照ください.なお,現地で慌てることのないよう,パソコンの設定と動作確認は事前にしておきましょう.

汎用受信機の場合

汎用受信機やHRO専用受信機の場合は,ケーブルのコネクタの反対側を受信機側へ接続します.そして,電池BOXからの電源ケーブルを接続します.また反対側の面に,スピーカーのコネクタを差し込み準備は完了です.(写真参照)

接続1 接続2

実際の観測

電源を入れる

汎用受信機やHRO専用受信機の場合,音量つまみを時計回りにまわすと最初に「カチッ」といって電源が入り,赤色のLEDが点灯します.もしこれで点灯しない場合は,電池がないあるいは電池の極性が逆の場合が考えられます.すぐに電源を切って,再度極性と電池の残りを確認してください.SDR受信機の場合は,パソコンを起動し,受信してください.

音量を聞きやすいように調整する

音量つまみで調整してください.音量つまみを時計回りに回すと音が大きくなります.この段階で「ザーッ」というホワイトノイズ(ラジオの局番があっていないときになる雑音)が聞こえることを確認してください.もしこのホワイトノイズが聞こえない場合は,スピーカーの差し込み口が違うか,アンテナケーブルがつながっていない,電源が入っていないが考えられます.またスピーカーのラインが断線していたり,プラグの接触が悪かったりすることもあるかもしれません.再度接続を確認してください.

あとはひたすら聞くだけ

1時間ほど聞いていると,夜間であれば1時間に20~40個ほどは観測環境さえ良ければ聞くことができます.「ザーッ」というホワイトノイズの中に「コーーン」という比較的高い音が聞こえます.周波数としては800Hz付近で,おそらく音階で言う「ラの音」に近いと思います.

【エコー音サンプル】

時折「ジジジ」とか「バチ」とか明らかにノイズだろうと思われるものが受信されるときもあります.また,「○×*+※」と何を言っているかわからないような声や音が聞こえるときもあります.これは海外放送局の混信だと考えられます.この混信は午後から夕方にかけて発生することが多いです.夜間から明け方にかけては滅多に発生しません.

夜に1時間あたり1個も聞こえないときはセッティングのミスも考えられます.長い棒と短い棒の接続はあっているか,アンテナを向ける方向はあっているかなどをステップ3や設置の再確認をしてみてください

くどいですが・・・

流星電波観測を一晩だけなど,アンテナをあくまで一時的に設置し,誰かが近くにいることを想定した紹介です.定常観測でこの設置方法は大変危険ですので,必ず「固定設置編」をご覧ください.

ステップ3:機材を組み立てよう  観測したデータは報告しよう